BOKETTO

ヨーロッパ一人旅の記録とひとりごと。

2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

赤色の涙

涙をもっと大きな粒にして、色なんか付けちゃって、もっと目立つ物にしたかった。 そうしたら静かに透明の涙を流すぼくに、気付かないで通り過ぎる人はいなかっただろう。 どうせなら効果音だなんて付けちゃって、みんなが他人の涙に気付く音か、笑ってしま…

列車

便利なものは人をたくさん助け 便利になりすぎたものは時に人を食べてしまう 列車は今日も朝晩と たくさんの人間を運んでいる 普段だれにもありがとうと言われないのに 少し遅れたから、と罵声を浴びる 人を食べる気などなかったのに 自分で止まることのでき…

大腸癌のタクシー運転手

今日のおれの身体はとても公共機関を使う気にはなれない繊細な身体をしていた。人混みは御免だ。朝も夜もタクシーを使った。 おれのタクシーの使い方は他の人とは違う。おれがタクシーを使う目的は、急いでいる時は別として、一瞬でもおれの命を預かると同時…

our earth

The most my favorite pic now.

もしも今日、地震がくるのなら。

今。 数秒後に地下の岩盤が破壊されたら。 今日眠りについたあと、そうなったら。 この文章が最後の言葉になる。 さっきあの人に見せたあの笑顔が最後の笑顔になる。 さっきあの人に見せた怒りが最後の怒りになる。 その人にとっておれの最後の表情は怒りに…

手押し車のおばあちゃん

数日前。地下鉄の階段の一歩手前。手押し車に手をかけたおばあちゃんがいた。 エレベーターもない冷めた地下鉄で、果たしてその手押し車をどう階段下に持っていく気をしているのか、全く行動予想の立たないおばあちゃんがいた。 ぼくの後から駆け足の女性が…

Kiss The Rain

ハンガリーに居た頃、盲目のピアニストと繋がった。なんでかはよく分からない。偶然の出会いなどぼくには無闇に降りかかる。たまたま泊まったホテルのお手伝い君が優芽のピアノ動画を気に入って、「どうしても生で聴きたい!」と言った。すると翌日、彼は道…

何でも創造の出来る神になりたいとおもうときがある ししゃも生者も みなごちゃまぜにしたいときがある 犯罪をおかした悪人も 誰かを愛し抜いた愛の人も みな ごちゃまぜにしたいときがある 大統領も犯罪者も子供も精神異常者も みな裸にして 手を繋げ合わせ…

いつも通り、深夜のリビングには疲れ切った父さんが眠っている。 そこに「上で寝なさいよ」と注意をする母さんはもういない。 ありあまった食糧も、おれの朝ごはんのアイスもなく、冷凍庫はしんとしている。 すぐに片付けたがる母さんがいないから、コンビニ…

オカマが輝いた場所

去年、オカマバーに行った。ショーの始まりから終わりまで、感動しっぱなしだった。涙が出た。横にいた友人に、「マジで感動する。カッコイイね。」と言い、「きっとこうなるまでに色々苦難あっただろうに、今ここで輝いてると思うと…」と付け加えると、 「…

羊と鋼とモノクロ

ねむりを妨げるものより この世で一番はらがたってかなしいのは ぼくからぴあのがいなくなることだ それもおれがまだ かきくけこ の き すら上手く発音できない頃から この手にずっと馴染んだモノクロと その中で音を創り出す羊と鋼 調律だってしばらくして…

人間模様の正解

人間関係全てに正解があればいい。 人間関係のはじまりは自由やファンタスティックなもので構わない。 よくわからなくたって構わない。 けれど人間関係のオワリはそっと誰かに道筋を照らしてほしい。 人間関係のオワリとは連絡が途絶えたりLINEがブロックさ…

はだかになりたがった少女

自分が生まれた日。 裸だった。 みんなが裸のぼくを抱きしめた。 今日はどうだろう。 服を着ている。 もうパパもママもおばあちゃんも おじいちゃんも友達も 布を剥がしたぼくの裸体には触れてくれやしない。 いっそ今日まで 誰も服を着させてくれなきゃよか…