BOKETTO

ヨーロッパ一人旅の記録とひとりごと。

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

休符

上手いピアニストは休符がある。 下手なピアニストは休符がない。 上手いピアニストには音の響きと、響いた空間の空気を感じられる余裕があるけれど、下手なピアニストは自分の音を聴くのに精一杯で休符すら感じられない。 もっと下手なら、自分の音すら聴く…

どうにもこうにも

一人になりたい時がある 朝でも夜でもなく ずーっと夜の中で 終わらない夜に埋もれたい時がある そこにあるのは夜の黒さに紛れて散らばった、黒い音符だけでいい それら全てに優しく抱かれて そっとそのままねむりたい だれにも、たいようにも照らされず そ…

愛をしらぬ人

ぼくらは愛し方も 愛され方も 学校で習うわけでもなく そうなればどう愛されてきたか それだけが 自分の中での知っている愛になる 映画の世界でどれだけ愛を見ても 愛を形成する食材は親からの愛に尽きる その形が歪であれば それを受け取って育った子も歪に…

ロエベ

愛していた財布が消えた。 中の現金はどうでもいい。あの財布が誰かに取られたことがショックで病む。 仮に30万入っていたとしても、それはまた稼げば良い。また手に入る。 あの誰よりも優しい鞣し革だったあいつとの別れが辛くて仕方ない。 いつも磨いてあ…

黒カレー

久しぶりに一人で外食をした。 無駄に美味く感じた。 母の手料理を食べる機会もなくなり 自分は誰かに作る方で 腹が減ればコンビニでは簡単に何でも食べられてしまい お洒落なレストランの物理的に美味しい料理も好きだけれど 近所の人や昼休みのサラリーマ…

10000時間の法則と運動会の小学生

おれがあの日ピアノを弾くと みんなが喜んだ おれがあの日パスタを振る舞うと 彼は感動した おれがあの日アコーディオンを弾くと 友人は涙した おれがあの日写真を撮ってやると 彼女は美しい自分を知った おれに出会った人たちが おれに出会った良い大人たち…

オナニー

いやはや馬鹿ばっかりだ なにぶん馬鹿ばっかりだ どうにも馬鹿ばっかりだ はなはだ馬鹿ばっかりだ おおよそ馬鹿ばっかりだ えてして馬鹿ばっかりだ 「結婚は人生の墓場だ」って アインシュタインの真似してアッカンベー 最近結婚した渡辺くんが 自慰していた…

ものもらい

目に麦粒腫がポツ、ポツとふたつできた。 夜中に異物感が凄く起き、瞬きが痛くて涙が出たが、こうなって初めて“目”という機能を通して自分がこの世界を“見る”という作業が出来ていることを知る。 もしも目が見えなくなれば、僕が行きたがっていたまだ行った…

そしあ

端から端まで飛んだ 人間に創られたものではない真緑が生き生きと在り、急ぎ行く人が居なくなり、そこに止まった列車もホームも静かに固まっているだけだった。 自動車学校は二時間の予定だったが、一時間のみ頑張った後に残った僕の身体は見事な抜け殻とな…