手
手を痛めつけた
ほんの、ほんの、少し
今ぜんせかいでひとりだけ
たったひとりだけ
まじでむりなやつがいる
だからおれはもちたいナイフも持たずに
うたをうたうよ
うたをうたえば
鍵盤に向かえば
どんだけそういう気持ちでうたっても
うたに刃先はなくなるんだ
かなしいことに
そんなときのぼくのうたは
まるで
鋭いナイフでじぶんの心を
やさしくじわじわと傷つけるような
サビはずぶずぶと奥底へつかれるような
そんなうた
かなしいけど
そうしてナイフを自分に向けるかでしか
本物のナイフをしまうことはできないのだ
あばれそうなぼくをままのむねとうででおさめてほしい
いつまでもままに心配をかける子でごめんなさい