BOKETTO

ヨーロッパ一人旅の記録とひとりごと。

また無意味にここへ来た

 

雨は止んだのに視界はさっきより濡れていた

 

スピードが出る車なのにゆっくりと

 

後ろに急いでいる車がいるかバックーミラーを見ながら

 

Honestyを聴きながら(そういやこの間おねすとりーって書いてもうたな)

 

 

 

今じゃもう違う人が住んでいる元実家は

 

知らない車がとまってる

 

ナンバーにおれの誕生日の23が書いていた

 

 

 

昔と変わらない川は

 

昔と変わらない寒さと

 

冬にたまに消えるベンチのせいで

 

ブロックに座る

 

なぜか工事中の川

 

おれの中身も現在工事中

 

変わった景色と言えば

 

手元にたばこがあるくらいだ

 

 

 

なぜか父さんに会いたい

 

そう思った

 

疎遠でも何でもないのに

 

すぐそこにいるのに

 

 

 

この涙はさっきの雨の延長なのか

 

なんなのか分からない

 

 

しかし何かを思い出すように

 

泣いてしまうとここへ帰って来る

 

 

俺が何度も学生時代やついこの間まで

 

友達や一人で涙を流したり黄昏たりしたこの場所で

 

僕はまた同じことをしている

 

 

 

「ゆめちゃんまたここにいたのね」

 

と傘を持って三角屋根から心配しに来る母親はいない

 

 

当たり前だ

 

さっきまで新しい母の家にいたのだから

 

 

 

俺は何を失くして悲しんでるのだろう

 

 

 

さっきまで見守ってくれた月すら

 

もう見えないが

 

 

見えていたのが本当に月かすら

 

疑う僕が

 

 

 

信じているのは家族の愛情だけなのだ

 

 

毎度毎度

 

「無事に着いた?」

 

とメールをくれる母に

 

今日はなんだか返せない

 

 

またここへ来ちゃった

 

と言えば心配するだろう

 

 

既読だけつけておいた

 

 

 

僕は生きてるよ

 

 

 

 

僕はここからどこへ帰ろうかな

 

 

また雨が降ってきた