BOKETTO

ヨーロッパ一人旅の記録とひとりごと。

星を見ろ

 

18歳の頃、「夜は危ない」と言われて悲しかった。

 

夜の危険ばかりを大人は並べた。

 

それはそれで別にいい。

 

今おもえば夜の危険さもよく分かる。

 

だけどかなしかった。

 

大人は「星がきれいなこと」を誰も知らかった。

 

知っていたのかもしれないけれど、

 

誰も言わなかった。

 

わすれていた。

 

 

 

 

2日に、講演会をした。

 

人前で1時間も自分のことを話すのは初めてだった。

 

たった20年の人生だけど、

 

20年の軌跡をたった1時間でまとめることは難しい。

 

薄っぺらくなってしまわぬよう、ギュウギュウに詰め込まなければいけない。

 

詰め込みすぎると、それはそれで暑苦しい。

 

とまぁ、講演は終えたのだけど

 

 

 

タイトルの「星を見ろ」に話を持ってく。

 

 

20年という長い一本の映画の中には幸せばかりじゃない、

 

愛する誰かの死や、様々な苦悩のシーンがある。

 

そんなシーンを涙流さず淡々と60分間で伝え切るそれは

 

よっぽどの冷血な人間でないと、もしくは心なきロボットのようにでしか

 

できないだろう。

 

 

自分は涙が目から溢れ出す一歩前の状態で喋っていたので

 

後から気づいたら身体と精神の疲れが異常をきたしていた。

 

 

「ただ話すだけやろ」と思っていたそれは

 

相当なエネルギーを消費することだった。

 

 

赤の他人の人生を語るのに、そんな体力は使わないだろう。

 

 

自分だけが主人公の、自分だけが知っている映画を

 

人に、友達に、大切な人に伝える。

 

それがこんなにもぶっ倒れるようなほどのエネルギーを使うとは(笑)

 

 

不登校だのなんだの、そんな話はビクともしないけれど

 

「じいちゃんの死」を初めて公の場で「堂々と」話す。

 

なんだか終わったあともじいちゃんと繋がっているようで。

 

 

 

そんなこんなで、2、3日ぐたーーーっとしてたのだけど

 

友達や家族にはあまり良い態度でいられなかった。

 

に加えて、友達や家族もいまみんな余裕があまりない。

 

変化が目まぐるしい。そんな時期。

 

 

でちょっとゴタついたり、と思えばやっぱりいいなって思ったり、

 

友達の悩みを聞いたり、親の仕事場の話を聞いたり、

 

そんな感じだったんだけど

 

 

 

さっき、満天の星を見て思った。

 

 

久しぶりに思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちっちゃ。」

 

 

 

 

 

 

と。

 

 

 

 

 

 

昨日も今日もその前も、

 

裸足になって芝生の上で寝ころがったり、

 

大の字で太陽の光を浴びたり、今日は星を見上げた。

 

 

 

人間がこんなにもくだらない争いや悩みで

 

地球の上で人間ごっこしているのは

 

もしも神さまが上から見下ろしているのだとしたら

 

よっぽどちっちゃくて馬鹿らしいんだろう。

 

 

だけど神さまにはそのどれもが

 

同時に人間らしくて愛おしいんだろう。

 

 

わかんないけど。

 

 

 

ぼくらは神さまではないけれど

 

せめて週に1度くらいは

 

神さまのように離れた場所から見下ろさなければいけない。

 

 

そして知らなければいけない。

 

あまりにもちっぽけな自分や、人間という生物の小ささを。

 

そのためには、目を閉じてグーグルアースのように

 

今いる場所から宇宙までぐーんと離れて見るのを想像するのも良いけれど

 

もっとも簡単なのは「自然」に触れること。

 

 

触れなければいけない。

 

 

 

今日、確信した。

 

 

人々がもっと自然と共存すれば、くだらないケンカはなくなると。

 

 

というか元々は自然しかなかったところに

 

「ビル」が出来たのがちょーありえないことだよね。

 

今ビルしかないのが逆にうけるよね。

 

 

別に都会に住むことは全然いい。便利だから。

 

 

 

けれどもやっぱり今、

 

北海道の「ニセコ」にきて思うのは、

 

「空気きれいすぎ」。

 

 

そしてやっぱりそんなところの人間は、あったかい。

 

 

 

色んな国を周ったら、

 

自然の多さ=人のあったかさ

 

 

 

これがしっかりと関係していることが

 

本当によくわかる。

 

 

 

 

都会でも自然に触れる、感じることはできるけど

 

やっぱちがう。

 

 

都会人を否定するつもりはない。

 

ただ自分には

 

都会の空気や人間の表情、温度より

 

島国や海や山と共に生きている人間の方が

 

付き合いやすく、楽なのだ。

 

 

人間くさくて、すきで仕方ない。

 

 

「目には見えない大事なもの」を

 

別になまぬるい音楽なんて聴かなくたって

 

知っている気がして。

 

 

 

 

BUMP OF CHICKENの曲で、

「星が綺麗なことに気づいてるかな」という歌詞があった。

 

 

 

こんな自分もいつしか、

あの頃に嫌いだった「夜は危険でしかないんだよ」

という大人にならないように、

 

危険と同時に美しさも語れる大人になるんだぞ。

 

むしろ美しさしか語らない方がパーシーらしい。

 

 

 

という願いとちょっとした警告も込めて、

 

未来の自分に、

 

「星を見ろ」。

 

 

 

 

 

自分のために。