BOKETTO

ヨーロッパ一人旅の記録とひとりごと。

ママのことば

 

究極に波が下がりきっていたとき

 

毎日家に篭って

 

何もする気も起こらず、

 

死にそうだったとき。

 

 

 

「帰ってきたら?と言おうとしてたんだよ」

 

と電話の向こうの声がした。

 

 

もう20年もの間、いちばん聞き慣れた声で。

 

 

 

今日、夢でみた。

 

 

 

 

「ママ」とは、

 

普通の人間よりも3倍ほど長く太い腕でいて

 

それでいて指も全部が同じ太さでやわらかく

 

到底まね出来そうにない、

 

お相撲さんのようなからだをしてる。

 

 

 

そしていつも微笑んで居て

 

腕全体で包み込むように子を抱きしめる。

 

 

 

生まれてからずっと

 

その腕の中であたためられて

 

 

 

やっと目線がママの胸のあたりになったころ

 

ママはさりげなく

 

子のからだに巻きつけていた腕をそっと放していく。

 

 

 

子はそれに気づかないでいて

 

ずっと変わらずあったかさを感じてる。

 

 

 

けれどいつか

 

ふとした時、

 

巻かれていた腕がないことに気づく。

 

 

それでもなぜかあったかいことも。

 

 

 

 

そしてまた

 

 

ママは子の背中にそっと手をまわし

 

子を自分の胸へと優しく誘導する。

 

 

 

 

そのときに

 

今までよりも一層

 

腕があったかいことに子は涙をする。

 

 

 

 

あたたかさは何も変わっていなのに。